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2019年5月19日日曜日

線形代数 対角化と固有値問題

メモ:徐々に色々書き足す予定
正方行列の対角化についてです。
対角化とは、$n$次正方行列$A$を次のように表すことを言います。
\begin{align*}
A = PDP^{-1}
\end{align*}
ここで$P$は正則行列($P^{-1}$はその逆行列)、$D$は対角行列で、
$$
D =
\begin{pmatrix}
\lambda_{1} & &\\
 & \ddots & \\
 & & \lambda_{n}
\end{pmatrix}
$$
です。

\begin{align*}
&\begin{pmatrix}
5 &4 \\
-8 &-7
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
1 &-1 \\
-1 &2
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
1 &0\\
0 &-3
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
1 &-1 \\
-1 &2
\end{pmatrix}^{-1}
\\
&\begin{pmatrix}
2 &3 &3\\
3 &2 &3 \\
3 &3 &2
\end{pmatrix}
=
\\
&\begin{pmatrix}
1 &1 &1\\
-1 &0 &1 \\
0 &-1 &1
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
-1 &0 &0\\
0 &-1 &0 \\
0 &0 &8
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
1 &1 &1\\
-1 &0 &1 \\
0 &-1 &1
\end{pmatrix}^{-1}
\end{align*}
どのような$A$でも、対角化できるわけではありません(条件などについては、今のところ触れないでおくことにします)。
対角化には、次の利点があります。
・$A^m(m\in\mathbb{N})$が簡単に求められる。

\begin{align*}
A^{4}
&= (PDP^{-1})(PDP^{-1})(PDP^{-1})(PDP^{-1}) \\
&= PD(P^{-1}P)D(P^{-1}P)D(P^{-1}P)DP^{-1} \\
&= PDDDDP^{-1} \\
&= PD^{4}P^{-1}
\end{align*}
そして、
\begin{align*}
D^4 &=
\begin{pmatrix}
\lambda_{1} & &\\
 & \ddots & \\
 & & \lambda_{n}
\end{pmatrix}^{4}\\
&=
\begin{pmatrix}
\lambda_{1}^{4} & &\\
 & \ddots & \\
 & & \lambda_{n}^{4}
\end{pmatrix}
\end{align*}
となり、簡単に計算できます。
メモ:ここはもっと増やしたい。よく使う記号を他の記事でまとめる。

さて、ここからは$A$を3行3列の行列とし、$P$を縦ベクトルを三本($v_1, v_2, v_3$)並べたものと見て、
$$
P=
\begin{pmatrix}
v_1 &v_2 &v_3
\end{pmatrix}
$$
$$
v_1 =
\begin{pmatrix}
x_1 \\
y_1 \\
z_1
\end{pmatrix}, \;\;\;
v_2 =
\begin{pmatrix}
x_2 \\
y_2 \\
z_2
\end{pmatrix}, \;\;\;
v_3 =
\begin{pmatrix}
x_3 \\
y_3 \\
z_3
\end{pmatrix}
$$
とします。すると、
\begin{align*}
A &= PDP^{-1} \\
AP &= PD \\
A\begin{pmatrix}v_1 &v_2 &v_3\end{pmatrix} &=
\begin{pmatrix}
x_1 &x_2 & x_3 \\
y_1 &y_2 & y_3 \\
z_1 &z_2 & z_3
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
\lambda_{1} & &\\
 & \lambda_{2} & \\
 & & \lambda_{3}
\end{pmatrix} \\
\begin{pmatrix}Av_1 &Av_2 &Av_3\end{pmatrix} &=
\begin{pmatrix}
\lambda_{1}x_1 &\lambda_{2}x_2 & \lambda_{3}x_3 \\
\lambda_{1}y_1 &\lambda_{2}y_2 & \lambda_{3}y_3 \\
\lambda_{1}z_1 &\lambda_{2}z_2 & \lambda_{3}z_3
\end{pmatrix} \\
\begin{pmatrix}Av_1 &Av_2 &Av_3\end{pmatrix}
&=
\begin{pmatrix}
\lambda_{1}v_1&
\lambda_{2}v_2&
\lambda_{3}v_3
\end{pmatrix}
\end{align*}
より、
\begin{align*}
Av_i=\lambda_{i}v_i\;\;\;(i = 1,2,3)
\end{align*}
を満たします。一般に、正方行列$A$に対して、
\begin{align}
Av=\lambda v
\end{align}
を満たす組$(\lambda, v)$を求める問題を固有値問題と呼びます。
$\lambda$を固有値、$v$を固有ベクトルと呼びます。
つまり、$A$の固有値と固有ベクトルを求めることができれば、(基本的に)$A$を対角化することができます。

固有値問題の解き方について見ていきます。
$(1)$を変形すると、
\begin{align*}
Av - \lambda v &= 0 \;\;\;(0:零ベクトル)\\
Av - \lambda E v&=0\;\;\;(E:単位行列)\\
(A - \lambda E)v &= 0
\end{align*}
と表せます。もし、$A - \lambda E$の逆行列が存在すると、$v=0$となる自明な解しか求められません。なので、$(A - \lambda E)^{-1}$は存在しないとします。すると、$(A - \lambda E)^{-1}$が存在しないならば、$|A - \lambda E|=0$を満たします。
つまり、
\begin{align*}
|A - \lambda E|=0
\end{align*}
を解くことにより、固有値$\lambda$を求めることができます。
後は、各固有値$\lambda$に対して、$(1)$を解くことで対応する固有ベクトルを求めることができます。
計算例1

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